サーマルカメラ性能比較

最近のサーマルデバイスは性能が飛躍的に上がっている気がします。

慣れたデジカメとは異なる単語がスペックに並ぶ為、それぞれの数字がどんな画を見せてくれるのか?
気になったので手持ちのサーマルデバイスで撮影を行ってみました。

手持ちのデバイスには、

  • 廉価版:スマホのアダプターに装着し、スマホで撮影する安価なタイプ。
  • 旧型相当:クリップオンタイプで、スペックが旧ハンドヘルド型と同等性能のデバイスを意味します。クリップオンの現行モデルは高くて手が出せません。
  • 現行ハンドヘルド型:現モデルのサーマルモノキュラーになります。

可視光での風景はこちら(距離400m程度)

この景色を各サーマルデバイスで覗いてみます。

1.スマホに装着(S社)

  • 画素数:206×156
  • ピクセルピッチ(μm):12
  • NETD(mK):不明?
  • 対物レンズ径(mm):6(実測値)
  • 検出可能距離(m):550
  • フレームレート(Hz):9

2.クリップオン(現N社:旧I社)

  • 画素数:256×192
  • ピクセルピッチ(μm):12
  • NETD(mK):≦40
  • 対物レンズ径(mm):13
  • 検出可能距離(m):675
  • フレームレート(Hz):25

3.ハンドヘルド型(G社)

  • 画素数:640×480
  • ピクセルピッチ(μm):12
  • NETD(mK):30
  • 対物レンズ径(mm):35
  • 検出可能距離(m):1800
  • フレームレート(Hz):50

こうして並べると大きな性能差が出ていそうなのは、当然の事ながら画素数と対物レンズ径でしょうか?1のデバイスはNETDが不明なので、判断しかねますがNETDも影響あると思います。
1については、検出距離550mのカタログ値ですが…400m先の中型はおろか大型動物の熱源を検知できるとは思えません。

実際に覗いていて、1でも30m程度先の空を飛ぶカラスの熱源を感知できます。ただし、フレームレートが低すぎるので追跡できる訳ではありません。
2では、画像のカクツキが始まると追跡できませんが、カラスの大まかなシルエットもサーマル画像の中で捉えられます(内蔵メモリが無いタイプなので、撮影は不可能でした)。
3のハンドヘルド型では、カラスは勿論検知できるのは当然として、400m先の広葉樹の幹や数百m先の地表に動物がいても検知できます(今回の映像の中に動物は検知できていません)。

もっと色んなデバイスを覗いてみたい…上で、結論

  • 画素数:高ければ高いほど良い
  • 対物レンズ径:大きければ大きいほど良い
  • フレームレート:25Hzで、実用ギリギリ。最低でも50Hzは欲しい!50Hzでも、時折映像が止まります。
  • NETD:現行モデルでは<20mKも、ちらほら見受けられます。のっぺりとした画をより細かなディテールを描いてくれると期待…(友人が20mK精度の機器での撮影映像を見せてくれました。遠方になると対物レンズ径と画素数でどうなるか?判断できませんが、近距離100m以内とか数百メートル以内?の映像はかなり陰影がはっきり見れます。近影は一瞬みた限りでは赤外線映像か!?と思いましたが…これが、画素数と対物レンズ径でどの程度の距離まで伸びるのか?比較したいものです)。

加筆するとすれば、
フォーカスはマニュアルもオートもそれぞれのメリットデメリットがあるので慣れるしか無いと思います。理想は、デジカメの感覚でオートをマニュアルフォーカスリング等の感覚で簡単に切り替えられればベストです。
バッテリーは交換可能式が良いです、駆動時間も交換式であればクリアできます。内臓バッテリーの際は、駆動時間も気にすべきでしょう。※そもそも、サーマルカメラの性能の上がり方を考えると、エントリーモデルなら内臓バッテリーはコスパ的にもアリだと思います。数年後には、もっと良いモデルが出ているんじゃないでしょうか?
重量は、軽いに越した事はありません。
起動時間は、大変重要です。少なくともスリープモードがあるか否かは、フィールドでは重要な点になってくると思います。